「ルネッサンス 2.0」運動を!
研究所代表「塚原 淳一」
歴史的進歩とその限界!

世界は過去に何度も戦争や飢饉で破滅の危機に瀕しましたが、その度に先人の先見的な思想を基に人々が力を合わせて再生させ、少しづつ進歩して来ました。しかし致命的な欠陥を放置したままに来ています。それは「人の心」を高める活動が伴っていないことです。人類は文明を発展させ、「農業革命」、「産業革命」を成し遂げて、いまは「情報革命」の最中に居ますが、これらの革命と並行して本来為されるべき重要な「人間の質」の改革が特に意識的、効果的に為されて来ていないのが実態です。

国家指導者層の人間の質

世界が抱える戦争や貧困、政治的対立を見る時、その根底には我われ国民の意識の低さの問題もありますが、最大の原因は社会へ大きな影響を与える国家指導者層の「人間の質」に保証の仕組みが無く、また彼ら自身に自らの「人間の質」を向上させる姿勢が見えないことです。その結果、未だ「表面的価値観」に基づく判断と行動に終始し、「国家の壁」を越えられない国家指導者層の輩出が続き、時として異常な「人間性」の国家指導者が現れては世界を大混乱に陥れることを繰り返しています。

科学技術の進展と悪用

また、急速に進むITなどの新しい科学技術の悪用に対し、人類世界が「法と刑罰」の現実的規制をすることは必要です。しかしそれだけでは「後追い・イタチごっこ」的対策に過ぎず、「軍拡競争」と同様に深刻な事態が次々起こることは避けられません。根本的解決を目指すには、新しい科学技術・製品を生む専門家、それを使う一般の人々、双方の「人間の質」が高まる以外にないと考えます。

国際的な人間改革運動の必要性

ここにおいて、世界すべての人々の「人間の質」向上が不可欠であり、そのための国際的改革運動が求められます。まず国家指導者層の「人間の質」改革を実現し、各国の教育制度の中にこの改革運動が落とし込まれて、国民の中に広く深く浸透して行く姿が描けます。
そのためには、目指すべき「人間の質」の基本となる「人間の本質的価値観」明確化と、それを語る「人間の本質的思想(物語)」が必要であり、またその「価値観」と「思想」を集大成した「人類共通のテキスト(聖典)」を作ることが大切です。この「価値観」と「思想」は、人類の先人である人間釈迦や人間イエス、人間ムハンマド、そしてギリシャやローマの思想家たちの遺した言葉と思想に学び、それらを最新の科学的知見で裏付ける構想をもちますが、本研究所活動の中でそれらがさらに詳しく検討され内容が高まることを期待しています。

「ルネッサンス2.0」の提唱

文化活動に留まらず、暗黒の中世を破って近世を開いた広範な動きを「ルネッサンス」と呼ぶとすれば、新しい世界を開くこの長期的な「人間の質」改革運動を、私は「第二ルネッサンス(ルネッサンス2.0)」と呼びたいと思います。かつてギリシャ文明の特色だった「人間性」の回復をめざしてイタリアに起こった「ルネッサンス」運動は、「宗教改革」を生み、法王と教会の暗黒の支配から人々を解放して近世を開きました。その流れは後の「米国独立戦争」「フランス革命」等を経て、沢山の血を流した上で「個人の尊重」や「民主主義」等に基本を置いた近代文明を生み、さらに「産業革命」、「資本主義経済」、「科学技術」をもって現代文明を大きく発展させて来ました。
しかし、いまそこに見えるのは「行き過ぎた個人主義」 「行き過ぎた資本主義」 「大国の横暴」 「貧富格差拡大」など、「人と人の絆」が切れて「信頼感」を失った人間社会であり、その結果として対立・紛争さらには戦争を繰り返す世界の姿です。

研究所設立の意義と展望

こうした問題解決には、まず「人の心」を回復させて、「人と人の絆」の上で「信頼感」ある社会・世界の復活を目指す「人間の質」改革運動の開始が必要です。この改革運動が次の大きな「第二ルネッサンス」運動(血を流さない革命)へと繋がる期待を持って、本研究所を創設してその第一歩を踏み出しました。

この研究所の活動は幅が広く、かつ目標達成に何世代・何世紀をも要する長期的なものになりますが、人類にとって不可欠の活動と考えており、大勢の人々が参加してこの「人間の質」運動が高まり、世代を超えて引き継がれ、人類の未来に大きな明るい華が咲くことを願うものです。