研究所代表「塚原 淳一」
戦争と差別のない平和な世界

私は、人類が「戦争と差別のない平和な世界」へ向けて着実に前進することを願う者です。過去の歴史を振り返ってみると、世界は幾度もの戦争や飢饉で破壊、破滅されて危機に瀕しましたが、その折々の先人の先見的な思想を基に、人々が力を合わせて再生させ、少しづつ進歩して来たと言えます。しかし致命的な欠陥がありました。

それはこれまでの活動の中に「人の心はどうあるべきか、どう高めて行けば良いか」の明確な方策が見えないことです。人類は文明を発展させて農業革命、産業革命を成し遂げ、いまは情報革命の最中に居ますが、本来、これらの革命と並行して為されるべき「人間の質」改革を怠って来たと言えます。中でも人間社会へ強い影響を与える国家指導者層には特に重要なのですが、求められる高い「人間の質」保証の仕組みも、また自らの質を変える姿勢も見えないことは残念です。

21世紀のいま、ここまで複雑化した人間社会と、対立・分断、その先に戦争へ向かう国際政治の姿を見る時、世界が「人の心」の重要性についてもっと真剣かつ具体的に取り組む必要性を強く感じています。

ここに一つの光明であり、また反省すべき事として、第二次世界大戦終結直後の1945年11月に国連で採択された『ユネスコ憲章』前文の言葉があります。 
「戦争は人の心が生む。人の心の中に平和の砦を築かねばならない」 
しかし、世界のほとんど全ての人が「戦争反対」であり、兵士も「死にたくない。敵を殺したくない。ただ上官の命令に従わねばならないだけ」なのに戦争が起こります。「何故か?」それは国家指導者と側近たち一部の人間の「心」の問題で、前文の言葉を次のように読み替えるべきです。

「戦争は国家指導者層の心が生む。国家指導者層の心に平和の砦を築かねばならない」
 
世界が抱える諸問題の中で、戦争や貧困、政治的対立の根本原因には、「国家の壁」を越えられない国家指導者層の「表面的価値観」があり、この裏には、彼らを選んだ我われ国民の低い意識の問題があります。また、新しい科学技術の悪用に対して「法と刑罰」規制は重要ですが、それは「後追い・イタチごっこ」的対策にならざるを得ず、「軍拡競争」と同様に深刻な事態が次々と生まれることは避けられません。

「人間の本質的価値観」明確化と「人間の本質的思想(物語)」が必要

ここにおいて、世界のすべての人々の「人間の質」改革が決定的に重要になります。そして真っ先に国家指導者層の「人間の質」改革が実現し、各国の教育制度の中にこの改革運動が落とし込まれて、国民の中に広く深く浸透して行く姿が描けます。
このためには、目指すべき「人間の質」の基本となる「人間の本質的価値観」明確化と、それを語る「人間の本質的思想(物語)」が必要であり、またその「価値観」と「思想」を集大成した「人類共通のテキスト(聖典)」を作る活動が求められます。そして「人間の本質的価値観」とその「思想」内容は、人類の先人である「人間釈迦」や「人間イエス」「人間ムハンマド」そしてギリシャ哲学者たちに学び、それらを最新の科学知で裏付ける私案がありますが、一つの叩き台として本研究所活動の中で高められて行くことを期待します。

こうした研究活動とは別に、その成果を検証して「人類共通の規範」と認定する国際研究機関(例 国連大学研究所)の創設を国連や主要国へ要請する活動があります。さらにこの機関で、世界各国の次世代国家指導者層に対して合宿生活の形で啓蒙と教育を行い、将来はすべての国が「人類共通の価値観」を持って政治を行うよう導くこと、また世界中の人々に「価値観」と「思想」を定着し共有化させるための、各国から選ばれた教師(優れた精神的指導者)を養成する教育機関にすることの要請があります。

この研究所の活動は幅広くかつ長期的になりますが、大勢の人々が参加して、幾世代にも亘って活動が引き継がれ、高められて行くことを願うものです。